【2026年版・FP解説】子どもが就職したら親の手取りはどう変わる?扶養控除がなくなる影響を解説

教育費・子供の独立準備

子どもが就職すると、親の手取りが減るって本当?

「子どもが就職したら扶養から外れるので、親の税金が増える?」「毎月の手取りはいくら減るの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

子どもが就職して一定以上の収入を得るようになると、親が受けていた扶養控除を利用できなくなる場合があります。その結果、親の所得税や翌年度の住民税が増え、手取りが少なくなる可能性があります。

ただし、「就職した=その日から必ず扶養控除がなくなる」わけではありません。税金の扶養は、その年の子どもの年齢や年間所得などによって判定されます。特に19歳以上23歳未満では、収入が一定額を超えても控除が段階的に残る「特定親族特別控除」があるため、制度を正しく理解することが大切です。

AFP(ファイナンシャルプランナー)の視点
子どもの就職は、教育費の終了だけでなく親の税金や家計が変わるタイミングです。「給与が増えたのに手取りが思ったほど増えない」と感じないよう、扶養控除がなくなった後の家計まで確認しておきましょう。

この記事でわかること

  • 子どもが就職したときの扶養控除の考え方
  • 親の所得税・住民税への影響
  • 子どもの年齢による控除額の違い
  • 特定親族特別控除の仕組み
  • 就職後に親が確認したい手続き

✅基本知識

扶養控除とは、一定の要件を満たす扶養親族がいる場合に、親などの所得から一定額を差し引ける「所得控除」です。控除額そのものが現金で戻る制度ではなく、課税対象となる所得を減らすことで所得税などの負担を軽くする仕組みです。

子どもの年齢所得税の主な扱い扶養控除額
16歳未満扶養控除の対象外0円
16歳以上19歳未満一般の控除対象扶養親族38万円
19歳以上23歳未満特定扶養親族63万円
23歳以上一般の控除対象扶養親族など38万円

特に大学生年代に当たる19歳以上23歳未満の子どもは、所得税の扶養控除額が63万円と大きく設定されています。そのため、就職などによって控除がなくなると、他の年齢区分より親の税負担への影響が大きくなる場合があります。

✅制度・仕組み

2026年分の所得税では、扶養親族となるための所得要件は合計所得金額62万円以下です。子どもの収入が給与だけの場合、給与収入136万円以下が一つの目安となります。

2026年分子どもの合計所得金額給与収入だけの場合の目安
扶養親族62万円以下136万円以下
特定親族62万円超123万円以下136万円超197万円以下

ここで重要なのが、19歳以上23歳未満の子どもです。2026年分では、給与収入が136万円を超えて通常の扶養控除の対象から外れても、一定範囲なら「特定親族特別控除」を利用できます。

例えば、給与収入159万円以下に相当する範囲では、親は所得税について特定扶養控除と同じ63万円の控除を受けられます。その後は子どもの所得が増えるにつれて控除額が段階的に減少し、給与収入197万円を超えると特定親族特別控除の対象外となります。

✅比較表

子どもが就職したときの税金への影響は、年齢によって大きく異なります。

ケース就職前就職後親への主な影響
18歳の子ども一般扶養控除38万円所得要件を超えると対象外課税所得が増える
20歳の子ども特定扶養控除63万円収入により特定親族特別控除へ控除が段階的に減る場合あり
22歳の子ども特定扶養控除63万円収入が高ければ控除なし税負担が増える可能性が大きい
24歳の子ども一般扶養控除38万円所得要件を超えると対象外課税所得が増える

新卒で正社員として就職すると、年間給与が扶養の所得要件を大きく超えるケースが一般的です。その場合、親は扶養控除や特定親族特別控除を受けられなくなり、所得税と住民税の負担が増える可能性があります。

ただし、就職した月だけで判断するのではありません。税金の扶養は年間の所得をもとに判定するため、年の途中から就職した場合は、その年の給与総額を確認することが重要です。

✅シミュレーション

では、子どもが就職して扶養控除がなくなると、親の税負担はどのくらい増えるのでしょうか。

ここではわかりやすくするため、所得税の扶養控除だけに注目して単純計算してみます。実際の税額は親の所得、各種所得控除、税率、住民税などによって異なります。

扶養控除額親の所得税率所得税への影響の単純計算
38万円5%約1万9,000円増
38万円10%約3万8,000円増
38万円20%約7万6,000円増
63万円5%約3万1,500円増
63万円10%約6万3,000円増
63万円20%約12万6,000円増

例えば、19歳以上23歳未満の子どもについて63万円の特定扶養控除を受けていた親の所得税率が10%だった場合、控除が完全になくなることによる所得税への影響は単純計算で年間約6万3,000円です。

さらに住民税の扶養控除にも影響するため、実際には所得税だけを見て判断することはできません。また、所得税には復興特別所得税があるほか、親の所得状況などによって計算結果は変わります。

✅親の手取りはいつから減る?

「子どもが4月に就職したら、4月の親の給与からすぐに手取りが減る」とは限りません。

所得税は給与から源泉徴収され、最終的には年末調整などでその年の所得や扶養状況を反映して精算されます。一方、住民税は前年の所得をもとに計算されるため、影響が表れる時期が所得税とは異なります。

税金主な影響確認ポイント
所得税その年の所得に対して計算年末調整などで扶養状況を精算
住民税原則として前年の所得をもとに計算翌年度の住民税に影響

そのため、子どもの就職後に親の給与明細を見ても、すぐに大きな変化を感じない場合があります。翌年の住民税まで含めて確認することが重要です。

✅19歳以上23歳未満は特定親族特別控除も確認

2026年分では、19歳以上23歳未満の子どもの給与収入が136万円を超えたからといって、親の所得控除がすぐにゼロになるとは限りません。

子どもの合計所得金額が62万円超123万円以下の場合、一定の要件を満たせば「特定親族特別控除」の対象となります。給与収入だけの場合は、136万円超197万円以下が目安です。

子どもの合計所得金額所得税の控除額
62万円超85万円以下63万円
85万円超90万円以下61万円
90万円超95万円以下51万円
95万円超100万円以下41万円
100万円超105万円以下31万円
105万円超110万円以下21万円
110万円超115万円以下11万円
115万円超120万円以下6万円
120万円超123万円以下3万円

つまり、大学生年代の子どもがアルバイトから就職へ移行する場合などは、「扶養控除がなくなるか」だけではなく、特定親族特別控除を利用できるかも確認する必要があります。

一方、新卒で正社員として1年間勤務するなど、給与収入が197万円を超える場合は、給与以外の所得がないケースでは特定親族特別控除の対象からも外れることになります。

✅メリット

子どもが就職すると親の扶養控除がなくなる可能性がありますが、家計全体で見ると必ずしもマイナスだけではありません。

  • 子ども自身が給与収入を得られるようになる
  • 親が負担していた生活費を減らせる可能性がある
  • 教育費の負担が終了・減少する場合がある
  • 子ども自身が勤務先の社会保険に加入するケースが多い
  • 親自身の老後資金づくりへ家計を切り替えやすくなる

親の税金だけを見ると負担増になる場合がありますが、教育費や仕送りなどが減れば、家計全体では余裕が生まれる可能性があります。

子どもの独立をきっかけに、それまで教育費へ回していたお金を貯蓄や将来資金へ振り替えるなど、家計の配分を見直すことも重要です。

✅注意点

よくある失敗・勘違い注意するポイント
就職した瞬間に扶養控除がなくなると思うその年の年間所得などで判定します。
所得税だけ確認する翌年度の住民税への影響も確認しましょう。
「扶養」をすべて同じものだと思う税金と社会保険では扶養の基準が異なります。
大学生年代なら収入が増えたらすぐ控除ゼロと思う特定親族特別控除を利用できる場合があります。
会社への申告を変更しない扶養状況が変わったら勤務先へ確認しましょう。

特に注意したいのが、「税金上の扶養」と「健康保険の扶養」を混同することです。所得税の扶養控除と健康保険の被扶養者認定は別の制度であり、判定基準も同じではありません。

子どもが会社員として就職し、勤務先の健康保険や厚生年金へ加入する場合には、親の健康保険の扶養から外す手続きが必要になることがあります。勤務先や加入している健康保険へ確認しましょう。

✅FPワンポイントアドバイス

AFPとして押さえておきたいのは、子どもの就職を「扶養控除がなくなって税金が増えるイベント」だけで考えないことです。

これまで学費や仕送り、スマートフォン代、保険料などを親が負担していた場合、子どもの就職を機に支出を整理できる可能性があります。税負担が年間数万円増えても、教育費などが年間数十万円以上減れば、家計全体では改善することもあります。

子どもが就職したタイミングは、親の家計を「子育て中心」から「将来資金中心」へ切り替える大きな節目です。税金の変化だけでなく、これまで子どもに使っていた金額が毎月いくらだったのかを確認し、家計全体を見直してみましょう。

✅チェックリスト

  • ☐ 子どもの年齢を確認した
  • ☐ 今年の子どもの給与収入見込みを確認した
  • ☐ 扶養控除の対象になるか確認した
  • ☐ 特定親族特別控除の対象になるか確認した
  • ☐ 親の勤務先へ扶養状況の変更を確認した
  • ☐ 健康保険の扶養を外す手続きを確認した
  • ☐ 翌年度の住民税への影響を考えた
  • ☐ 教育費終了後の家計配分を見直した

✅よくある質問

Q. 子どもが就職したら親の手取りは必ず減りますか?

扶養控除などがなくなることで税負担が増え、手取りが減る可能性があります。ただし、親の所得や子どもの年齢・年間所得などによって影響は異なります。

Q. 4月に就職したら4月から扶養控除がなくなりますか?

税金上の扶養は単純に就職した月だけで決まるものではありません。その年の年間所得や年齢などの要件を確認します。

Q. 2026年はいくらまでなら扶養控除の対象になりますか?

2026年分の所得税では、扶養親族の合計所得金額は62万円以下が要件です。給与収入だけの場合は136万円以下が目安となります。

Q. 20歳の子どもの給与収入が136万円を超えたら控除はゼロですか?

必ずしもゼロにはなりません。19歳以上23歳未満で一定の要件を満たす場合、給与収入136万円超197万円以下を目安に特定親族特別控除を利用できる可能性があります。

Q. 税金の扶養から外れたら健康保険も自動的に外れますか?

税金と健康保険の扶養は別制度です。子どもが勤務先の健康保険へ加入した場合などは、親が加入する健康保険で必要な手続きを確認しましょう。

Q. 子どもの就職後、親は何をすればいいですか?

子どもの年間収入見込みを確認し、勤務先で扶養控除等申告書などの変更が必要か確認しましょう。健康保険についても、子どもが新しい勤務先の社会保険へ加入する場合は扶養削除などの手続きを確認します。

✅参考リンク

✅まとめ

子どもが就職して一定以上の収入を得ると、親が利用していた扶養控除がなくなり、所得税や住民税の負担が増える可能性があります。その結果、親の手取りがこれまでより少なくなる場合があります。

ただし、2026年分の所得税では、扶養親族の所得要件は合計所得金額62万円以下、給与収入だけの場合は136万円以下が目安です。また、19歳以上23歳未満では、通常の扶養控除から外れても一定の所得範囲なら特定親族特別控除を利用できる仕組みがあります。

大切なのは、「子どもが就職したから扶養控除がなくなる」と一律に判断せず、子どもの年齢とその年の年間所得を確認することです。所得税だけでなく翌年度の住民税や健康保険の扶養手続きも合わせて確認しましょう。

子どもが就職した年は、親の年末調整で扶養控除の扱いを確認することも重要です。「子どもが就職した年の年末調整はどうなる?扶養控除から外れるタイミング」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

そして、子どもの就職は親自身の家計を見直すタイミングでもあります。教育費や仕送りなどが減った分をそのまま生活費に使うのではなく、将来に向けた貯蓄などへ振り替えることで、子育て終了後の家計を整えやすくなります。