【FPが徹底解説】親から子へのお金の「贈与」と「貸与」メリット・デメリット比較

教育費・子供の独立準備

✅ はじめに

親が子どもにお金を渡すとき、「贈与」と「貸与」どちらを選ぶべきか悩む方は多いでしょう。
AFP(ファイナンシャルプランナー)の視点から見ると、それぞれ税制・契約・相続への影響が異なり、十分な理解が必要です。

特に住宅購入や教育資金など高額な支出が関わる場面では、誤った形式で渡すと後々トラブルや課税の対象になることも。

この記事では「贈与」と「貸与」の制度的な違い・活用例・注意点・選び方をわかりやすく解説します。


✅ 贈与とは?

贈与の意味と税制上の特徴

贈与とは、親が子に無償で財産を渡す行為です。民法上は双方の合意で成立しますが、税制上は年間110万円を超えると贈与税の課税対象になります。

【具体例】
例えば、親が結婚資金として子に200万円を渡した場合、差額の90万円に贈与税が課税される可能性があります。これを防ぐには、「結婚・子育て資金の一括贈与特例」などの非課税制度を活用します。

結婚・子育て資金の一括贈与特例

贈与の主なポイント

  • 年110万円以内なら非課税(暦年課税)
  • 契約書(贈与契約書)があると信頼性が高まる
  • 住宅資金贈与や教育資金贈与などの特例がある

注意すべき点

  • 名義預金:親の口座から子名義に振り込んでも、管理権限が親のままだと課税対象になることがあります
  • 相続との関係:相続開始3年以内の贈与は、相続財産に加算されるケースがあります

👉 国税庁|贈与税のしくみ


✅ 貸与とは?

貸与の仕組みと税務上の扱い

貸与は「貸す行為」、つまり将来返済されることを前提とした資金の提供です。形式だけでなく、実際の契約と返済履歴が重要視されます。

【具体例】
親が子に住宅資金として1,000万円を貸し、返済期間10年、年利1.0%で返済させる場合、借用書の作成と定期的な返済の実行が必要です。返済が滞ると贈与とみなされる可能性があります。

必要な条件

  • 借用書(借入日・金額・利率・返済期日など明記)
  • 実際の返済(銀行振込など証拠が必要)
  • 金利設定:0%だと贈与認定リスクがあり、最低でも0.5〜1.0%以上が推奨されます

👉 国税庁|親族間貸付の留意点


✅ 贈与と貸与の違いを徹底比較

メリット・デメリット比較表

項目贈与貸与
税金贈与税が発生(110万円超)原則非課税(実態次第)
契約書任意(推奨)必須(借用書)
金利設定不要必要(0%不可)
相続対策特別受益とみなされる場合あり負債として相続財産を圧縮可能
トラブル税務署による否認リスク返済不履行による贈与認定リスク

よくある誤解

  • 「親だから契約しなくてもいい」は誤解
  • 「振り込めば贈与になる」はNG(契約と受け取りの意思確認が必要)
  • 「返済不要なら贈与」=事後的に変更したら贈与税が発生

✅ 形式を整えることが信頼性のカギ

書類や証拠を整えるチェックリスト

チェック項目贈与貸与
契約書の有無◯(贈与契約書)◎(借用書)
銀行振込◎(記録が残る)◎(返済記録に必要)
利息の有無不要要(0.5%〜)
税務相談歴あれば安心あれば安心

どちらの形式でも、税務署は“形式”より“実態”を重視します。
親子間でも「他人と同様に厳密な契約」を行うことで、課税回避と円満な関係維持の両立が可能です。


✅ まとめ:迷ったら、プロと一緒に形式を確認しよう

親から子への資金提供は、単なる好意で済まされない時代です。贈与も貸与も、それぞれに明確なルールとリスクが存在します。

【迷ったときの判断ポイント】

  • 「返済する前提がある」→貸与
  • 「返済不要、援助のつもり」→贈与
  • どちらか判断がつかないとき→契約書と振込の履歴を残しておくことが先決

わずかな形式の違いが、後の相続や税務トラブルに直結することもあります。
不安がある場合は、税理士・FPなどの専門家に早めに相談しておきましょう。