【2026年版・FP解説】住宅ローン控除とは?仕組み・対象者・いくら戻るかをわかりやすく解説

税金・制度

住宅ローン控除で「ローン残高の0.7%が必ず戻る」は本当?

「住宅ローン控除を使うと税金が戻ると聞いたけれど、いくら戻るの?」「自分の住宅も対象になるの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して一定の住宅を取得した場合に、年末の住宅ローン残高などをもとに所得税から一定額を差し引ける制度です。2026年の制度では控除率は原則0.7%で、住宅の種類によって借入限度額や控除期間が異なります。

ただし、「年末残高×0.7%」の金額がそのまま現金で戻るとは限りません。実際に控除できる金額は、その年に納める所得税などによって変わります。

AFP(ファイナンシャルプランナー)の視点
住宅ローン控除は大きな節税効果が期待できる制度ですが、「最大控除額」だけを見て住宅購入の予算を決めるのは避けたいところです。住宅ローンの返済額、固定資産税、修繕費まで含めて家計全体で考えましょう。

この記事でわかること

  • 住宅ローン控除の基本的な仕組み
  • 2026年の主な対象条件
  • 住宅の種類による借入限度額の違い
  • いくら控除されるのかの考え方
  • 申請時に注意したいポイント

✅基本知識

住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。住宅ローンを利用してマイホームを新築・購入した場合などに、一定の要件を満たすと所得税の負担を軽減できます。

項目2026年の基本的な内容
控除率原則0.7%
計算の基礎年末の住宅ローン残高など
控除期間住宅の種類により10年または13年
所得要件原則として合計所得金額2,000万円以下
ローン期間原則10年以上

例えば、控除対象となる年末ローン残高が3,000万円なら、単純計算では「3,000万円×0.7%=21万円」が控除額の目安です。ただし、実際には住宅ごとの借入限度額や本人の所得税額などによって、控除できる金額は変わります。

✅制度・仕組み

住宅ローン控除を受けるためには、住宅を購入しただけでは足りません。住宅の床面積、所得、入居時期、住宅ローンの返済期間など、複数の条件を満たす必要があります。

主な条件確認ポイント
入居取得後6か月以内に入居すること
床面積原則50㎡以上。一定条件では40㎡以上も対象
居住部分床面積の2分の1以上を自己の居住用に使う
所得原則合計所得金額2,000万円以下
返済期間住宅ローンの返済期間が原則10年以上

床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、一定の要件を満たし、控除を受ける年の合計所得金額が1,000万円以下であることなどが条件になります。

✅比較表

2026年に入居する場合、新築住宅などでは住宅の省エネ性能によって借入限度額が異なります。

住宅の種類借入限度額控除率控除期間
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅など4,500万円0.7%13年
ZEH水準省エネ住宅3,500万円0.7%13年
省エネ基準適合住宅2,000万円0.7%13年
一定の既存住宅など2,000万円など0.7%10年など

さらに、一定の子育て世帯等では借入限度額が上乗せされる仕組みがあります。住宅の性能や新築・中古の違いによって条件が変わるため、契約前に住宅の認定区分を確認しておくことが大切です。

✅シミュレーション

住宅ローン控除で「いくら戻るのか」を理解するには、年末の住宅ローン残高だけでなく、住宅ごとの借入限度額や実際に負担している所得税・住民税も確認する必要があります。

ここでは、わかりやすくするために控除対象となる年末ローン残高を使って計算してみましょう。

控除対象となる年末残高控除率計算上の控除額
2,000万円0.7%14万円
3,000万円0.7%21万円
4,000万円0.7%28万円
4,500万円0.7%31万5,000円

例えば、控除対象となる年末ローン残高が3,000万円なら、「3,000万円×0.7%=21万円」がその年の計算上の控除額となります。

ただし、21万円が必ず現金で戻ってくるわけではありません。住宅ローン控除は、まず所得税から控除され、所得税から控除しきれない一定額については翌年度の住民税から控除される仕組みがあります。

そのため、もともとの所得税・住民税の負担額が少ない場合は、「年末残高×0.7%」で計算した金額をすべて控除できないことがあります。

✅いくら戻る?具体例で確認

住宅ローン控除では「最大控除額」と「実際に控除できる金額」を分けて考えることが重要です。

ケース計算上の控除額所得税等の状況実際の考え方
Aさん21万円控除できる税額が十分ある21万円を控除できる可能性
Bさん21万円所得税だけでは控除しきれない一定額を翌年度の住民税から控除
Cさん21万円所得税・住民税とも少ない21万円すべてを使い切れない可能性

つまり、「4,000万円の住宅ローンを組めば毎年28万円戻る」と単純に考えることはできません。住宅の借入限度額や年末残高に加えて、自分が実際に支払っている税額を確認する必要があります。

✅メリット

  • 所得税の負担を軽減できる
  • 一定の場合は住民税からも控除を受けられる
  • 長期間にわたり控除を受けられる住宅がある
  • 省エネ性能の高い住宅では借入限度額が大きくなる場合がある
  • 住宅購入後の家計負担を軽減する効果が期待できる

住宅ローン控除は、住宅購入後の税負担を軽減できる点が大きなメリットです。特に住宅ローン残高が多い購入当初は、一定の控除効果が期待できます。

ただし、住宅ローン控除を受けられることを理由に借入額を増やすのは注意が必要です。控除期間が終了した後も住宅ローンの返済は続くため、無理のない返済計画を優先しましょう。

✅注意点

よくある失敗・勘違い注意するポイント
ローン残高の0.7%が必ず戻ると思う実際に負担している税額などによって控除額は変わります。
すべての住宅が同じ条件だと思う住宅性能や新築・既存住宅などによって条件が異なります。
住宅ローン控除だけで購入予算を考える返済額や維持費を含めた家計全体で判断しましょう。
初年度の手続きを忘れる原則として最初の年は確定申告が必要です。
ふるさと納税など他の制度を考慮しない所得控除・税額控除との関係も確認しましょう。

特に注意したいのが、「最大控除額=必ず戻る金額」ではないという点です。最大控除額はあくまで制度上の上限であり、実際の控除額は所得や納税額などによって異なります。

また、住宅ローン控除の制度は税制改正によって変更されることがあります。住宅購入を検討するときは、入居する年の最新制度を確認することが大切です。

✅申請方法

住宅ローン控除を初めて受ける場合、会社員であっても原則として確定申告が必要です。必要書類を準備し、入居した年の翌年に手続きを行います。

タイミング主な手続き
住宅購入・入居住宅ローン控除の対象条件を確認
年末住宅ローンの年末残高などを確認
翌年原則として確定申告
2年目以降給与所得者は一定の要件のもと年末調整で手続き可能

現在は金融機関等から税務当局へ住宅ローンの年末残高情報を提供する仕組みも導入されていますが、契約している金融機関や住宅の取得時期などによって手続きが異なる場合があります。実際の申告時には国税庁の最新案内を確認しましょう。

✅FPワンポイントアドバイス

AFPとしてお伝えしたいのは、住宅ローン控除を「住宅ローンを多く借りるほど得をする制度」と考えないことです。

住宅購入後には、住宅ローンの返済以外にも固定資産税、火災・地震保険料、マンションなら管理費や修繕積立金、戸建てなら将来の修繕費などが発生します。

住宅ローン控除による税負担の軽減は家計にとってプラスですが、控除額を前提に返済計画を組むのではなく、控除がなくても無理なく返済できる金額を基準に考えることが大切です。

✅チェックリスト

  • ☐ 入居する年の住宅ローン控除制度を確認した
  • ☐ 住宅の省エネ性能・認定区分を確認した
  • ☐ 借入限度額を確認した
  • ☐ 住宅ローンの年末残高を確認した
  • ☐ 自分の所得税・住民税を確認した
  • ☐ 初年度の確定申告について確認した
  • ☐ 控除終了後も無理なく返済できるか確認した

✅よくある質問

Q. 住宅ローン控除はいくら戻りますか?

基本的には年末の住宅ローン残高などをもとに控除額を計算しますが、住宅ごとの借入限度額や本人の所得税・住民税の状況によって実際の控除額は異なります。

Q. 年末残高の0.7%が必ず戻りますか?

必ずしも全額を控除できるわけではありません。所得税などの税額が少なければ、計算上の控除額を使い切れないことがあります。

Q. 会社員でも確定申告が必要ですか?

住宅ローン控除を初めて受ける年は、会社員でも原則として確定申告が必要です。2年目以降は一定の要件を満たせば年末調整で控除を受けられます。

Q. 中古住宅でも住宅ローン控除を利用できますか?

一定の要件を満たす既存住宅も対象になります。ただし、新築住宅とは借入限度額や控除期間などが異なる場合があります。

Q. 繰上返済すると住宅ローン控除はどうなりますか?

繰上返済によって年末残高が減れば、住宅ローン控除の計算の基礎となる金額も小さくなる可能性があります。また、返済期間が制度上の要件を満たさなくなる場合にも注意が必要です。

Q. ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できますか?

併用は可能ですが、所得税や住民税から控除される仕組みが関係するため、住宅ローン控除の利用状況によってはふるさと納税の控除上限などに影響する場合があります。利用前にシミュレーションすることが大切です。

✅参考リンク

✅まとめ

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して一定の住宅を取得した場合に、所得税などの負担を軽減できる制度です。2026年の制度では控除率は原則0.7%で、住宅の性能や種類によって借入限度額や控除期間が異なります。

特に覚えておきたいのは、「年末ローン残高×0.7%=必ず戻る金額」ではないということです。実際に控除できる金額は、住宅の借入限度額や所得税・住民税の状況などによって変わります。

住宅購入を検討するときは、住宅ローン控除による節税額だけではなく、毎月の返済額や固定資産税、保険料、将来の修繕費なども含めて考えましょう。制度を正しく理解したうえで、無理のない住宅資金計画を立てることが大切です。