📝 はじめに
マイホームを購入して住宅ローンを組むと、多くの場合、**団体信用生命保険(団信)**に自動加入します。
そのため、「団信があれば死亡保険はいらないのでは?」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実は団信と民間保険では“守る対象”が異なるのです。
団信は「家(ローン)」を守るための保険、民間の生命保険は「家族の生活」を守るための保険。
つまり、この両者をバランスよく設計しないと、万一のときに家は残っても日々の生活に不足が出る可能性があります。
この記事では、団信だけで“安心”にできるかどうかを判断するポイントと、保険を整理・見直す方法をわかりやすく解説します。
✅ 団信って何?どこまでカバーされるもの?
団信(団体信用生命保険)とは何かを正しく理解しておきましょう。
- 住宅ローン契約者が死亡または高度障害状態になったとき、ローン残債を保険で払ってくれる制度
- 多くの場合、住宅ローン契約とセットで自動加入
- 保険料はローン金利に含まれていることが多く、別途保険料を払わないケースも
- さらに、オプションでがん保障・三大疾病保障・就業不能保障などの追加特約を付けられることもある
したがって、団信=「住宅ローンの支払いを保険でカバーする保障」と考えられます。
✅ 団信だけで足りる? 見落としやすいポイント
団信は心強い制度です。一方で、それだけでは家族の生活全部を守れるわけではありません。
● ローン返済は守れても、生活費は守られない
団信で「家(ローン)」は守られても、以下のような支出は団信ではカバーされません。
- 家族の毎月の生活費(食費、光熱費、通信費など)
- 教育費・進学費用
- 医療費・介護費用
- 老後資金の補填
つまり、これらの費用は別の生命保険・医療保険・収入保障保険などで支えないと、家は残っても生活に不足が出る可能性があります。
● 団信と死亡保険の役割の違い
| 項目 | 団信(団体信用生命保険) | 民間の死亡保険 |
|---|---|---|
| 目的 | 住宅ローンの完済 | 遺族の生活費・教育費の保障 |
| 加入タイミング | 住宅ローン契約時に自動加入 | 任意加入 |
| 保険料 | ローン金利に含まれることが多い | 月払い・年払いで別途支払い |
| 保険金の使い道 | ローン残高の返済 | 生活費・教育費・相続対策など |
| 対象 | 借入者本人とローン残高 | 家族・遺族全体の生活保障 |
👉 団信は「家」を守る保険、民間保険は「暮らし」を守る保険。
したがって、両方を組み合わせることで、“住まいやローン”と“日常生活”の両面が守られる保険設計になります。
✅ 保険整理・見直しの手順とポイント
次に、団信と他の保険を整理する際の流れを見ていきましょう。
🔹 ステップ①:団信の内容を正しく確認する
- 死亡時の保障のみか?
- 三大疾病・がん・就業不能の特約は付いているか?
- 特約の保障範囲・金額・支払条件はどうか?
- 保険期間・支払期間の設定はどうなっているか?
これにより、「この保障があるから、他の保険で重複させなくていい部分」が見えてきます。
🔹 ステップ②:他の保険との重複をチェック
- 死亡保険が団信+民間保険で過剰になっていないか
- 医療保険・がん保険で、同じ入院日額や手術給付が重なっていないか
- 職場保障(団体保険・共済など)と保障がかぶっていないか
たとえば、全ての保険証券を並べて一覧にすることで、無駄が見つかります。
🔹 ステップ③:不要な部分を整理し、“足りない部分”を補う
- 団信があるからといって、すべての死亡保障を外すのは危険
- 保障額を減らしたり特約を外したりすることで、保険料を抑える
- 貯蓄型保険を「払済型」に変更して、保障は残しつつ支払いを終了する選択肢もある
✅ 見直しのタイミングと相談先
最後に、見直しのタイミングと相談先を整理しておきましょう。
● 見直しに適したタイミング
- 住宅ローン契約後、数年以内(保障内容の差異が明確なうちに)
- 家族構成が変化したとき(子どもが独立・結婚など)
- 定年退職前後、収入構成が変わるとき
- 健康状態に変化があったとき
● 相談先の選び方
- 保険会社の担当者:団信やその保険の制度に詳しいが、必ずしも他社比較はできない
- 乗合保険ショップ:複数社の商品から比較提案を受けられる
- 独立系ファイナンシャルプランナー(FP):販売目的ではない中立的な視点で設計相談ができる
とはいえ、どの相談先でも「無理な販売をされないか」「複数社比較できるか」を事前に確認しておくと安心です。
✅ まとめ
団信は、住宅ローンを守るうえでは非常に有用な保険です。しかし、それだけでは家族の暮らしをすべて守れるわけではありません。
👉 「団信があるから安心」ではなく、**「団信+民間保障のベストな組み合わせ」**を意識して設計することが、本当の安心につながります。
したがって、見直しの際にはぜひ今日から以下を確認してみてください:
- 団信の保障内容とオプション特約
- 他の保険との重複保障
- 不要な保障の整理と必要な部分の充実
保険証券を取り出して、“守るべきもの”を整理すること。
これが無駄のない、納得できる保険設計につながります。です。

